現役人事部長の「採用研究室」

人事部長の「採用研究室」

採用面接に社員研修、査定評価まで…人事部という職場で日々思うことを書きます。企業の人事担当者、学校の就職支援課、就活する学生さんの参考になれば幸いです

飲みニケーション不足のダメージ

新入社員歓迎会に、人事異動の歓送迎会、新年会や忘年会、上司が部下の不満を聞く焼き鳥会……

新型コロナで飲食をともなう会合が、昨年3月から「原則禁止」となってもうすぐ1年。

いかに普段、職場の飲みニケーションが多かったのか、あらためて気がつかされました。

 

私の会社では、社員同士の飲み会費用を、5000円以内&回数限定で支給しています。

そのためこの1年、会社全体の経費は激減しました。

実際は、zoomなどツールも充実しており、夜に飲んで話さなくても、業務は回っています、一見すると。

 

ですが、最近小さなズレが表に出だしています。

先日、1年目社員をお茶に誘って近況を聞くと、

「部署に貢献できていないのが辛い」

「部長に使えないと思われている」

と言う一方で、

「部署のほとんどの先輩と、職場以外で話したことがない」

ということでした。

彼の部署は、小さな子供がいる社員が部長を含めて多く、そういった理由があると思われます。

ただ、少し前に部長から彼の近況を聞いたときには、

「まだ処理スピードは早くはないものの、発想力も向上心もあり優秀」

という評価をしていたので、不思議に感じました。

多部署で同様の現象が起きていないかヒアリングをしていくと、若手社員だけでなく、中堅でも、

「上司が自分の仕事をどう評価しているのかわからない」

と感じているようです。

役員たち長老は、

「今の若い人は承認欲求が強すぎる」

とこぼします。たしかにそう感じることもありますが、明確な成果を求められる時代なのだから当然とも言えます。

 

《飲み会だからこその本音》

新型コロナによる社内の閉塞感は、先の見えない業績への不安は大きいでしょう。それに次いで、オフィシャルでない場での会話=飲みニケーション不足が影響しているのではないかと見ています。

昼間の会議で強めな質問をした先輩も、お酒が入った場では、

「自分が1年目の時は正直、あんな発想できなかったよ」

「もっと細部を詰めたら、完成度高くなると感じて強く質問してしまった」

なんて本音のように話しながら、後輩にフォローすることってありますよね?

ドラマや小説では、若い主人公が先輩に飲みに誘われてもきっぱり断るシーンがありますが、実際は、誘われたいと思っている若手が多いようです。

私の場合は、多くても4人以内で、全員参加で話せる規模にし、全員がまんべんなく言葉を発するよう心がけています。

 

直接的な悩みが解決されなくても、話を聞いてもらえる場があると、人は潰れるまでダメージを溜めないで済むのではないかと思います。