現役人事部長の「採用研究室」

人事部長の「採用研究室」

採用面接に社員研修、査定評価まで…人事部という職場で日々思うことを書きます。企業の人事担当者、学校の就職支援課、就活する学生さんの参考になれば幸いです

若手との裏交流

新型コロナの感染がほぼ収まっている11月〜12月、3年目までの若手社員たちと、連日「ビールを一杯」飲みながら話しています。

もちろん感染リスクはゼロではなく、人事部の私がコロナ感染するようなことがあったら、会社中に迷惑をかけてしまいますので、話すときはマスクをし、時間も最小限としています。

 

それでもビール会を続けているのは、今若手の声を聞かないと、社内コミュニケーションが取り返しのつかないダメージを受けそうな気がしているからです。

同業他社の人事担当者たちから、メンタル不調者が、特に若手で複数出ていると聞きました。

私の会社でも出ています。

 

個別に話を聞いてみると、「後フォローのない厳しい指導」や「上司の在宅勤務によって初歩的な質問ができない悩み」などで、ストレスが蓄積しています。

新入社員のそんな悩みを、2〜3年目社員が見かねてお茶に誘い励ましているようなのですが、若手社員がそんなケアをしていることすら、上の社員たちは気づいていない……。

ベテラン社員にも家族があり、誰が悪いわけでもありません。

それでも、若手社員の気持ちが今の仕事場から離れてしまったら、という焦りを感じます。

 

オミクロン株による感染拡大が、1月にはあると覚悟していますので、今のうちに少しでも現場の声を集めておかなくては、と思っています。

内定後に本性見せる人

10月1日に無事内定式を終えて、卒業の心配がない人にとって今の時期は、人生でもっとも清々しい毎日かもしれません。

新型コロナのために、海外旅行が難しいという点は本当に気の毒です。

 

私の会社では、4月1日の入社式まで、2カ月に1回の頻度で会社に来てもらい、研修をおこなったり、課題レポートを提出してもらっています。

今年の内定者は、こういう時代ゆえか、課題の提出やメールの返信もしっかりしていて優秀です。

毎年1人くらいは“破天荒”な内定者がいるのですが……。

同業他社の人事部長に聞くと、課題を出しても締切日に間に合わなかったり、ひどいときは返信すらしてこない人が今年もいるようです。

「海外旅行中で電波が繋がりませんでした」という言い訳は、今年はできません。

 

正直言って、入社前にこんな態度ができる内定者の気持ちが理解できませんが、内定取り消しをすることは、日本では事実上無理な法律になっています。

数年前に入社した社員で、人事部からのメール連絡にほとんど返信してこないズボラな人がいるのですが、今も報連相ができず、上長の評価はよくありません。

(発想力は独特で面白いです)

 

人事の立場で本音を言えば、内定後の(素の)態度で、入社させるかファイナルアンサーさせてもらいたいところです。

まあそうなったらなったで、入社式まで本性を隠すだけかもしれませんが。

 

飛び込みの履歴書

私の会社では、ほとんど中途採用はおこなっていませんが、時々履歴書が送られてきます。

紙の履歴書が送られてくることもあれば、メールのことも。

 

先週送られてきた履歴書はメールでした。

内容に問題はなく、というよりむしろ「前年比120%の成果を挙げてきました」風な内容で、ルックスもいい写真が貼られています。

ただ一つ、猛烈に気になる記述が、

「御社への入社を希望していますが、他社からすでに複数の内定をいただいておりますので、○月○日までにご連絡ください」

と文末に……。

 

内定がいくつも出ているのは嘘ではないのでしょうし、仕事であれば期日をはっきり伝えるほうがデキるビジネスパーソンなのでしょう……。

 

ただ、募集をしていない企業に対して履歴書を送るときにこういった記述をしてしまう人が、仕事の場でどんな言動をするのか心配になってしまいます。

 

翌日、ご意向に沿えずに申し訳ありませんという返信をしました。

 

合理的な言動が必ずしも正解とは限らないのが、リアルなビジネスの難しさであり、面白さです。

深夜のメールもハラスメント!

人事部としては何とも難しい問題です。

若い社員から、

「部長から土日、深夜問わずメールが届くことに悩まされています」

という声が2件続きました。

詳しく聞くと、一つのケースAでは緊急の内容でなく、部長が思いついたことを忘れないうちにメールで送っておく(返事を求めていない)だけのようです。

それでも部下によっては、何かあったのではないか? と不安になりますし、ストレスを与えます。

 

もう一つのケースBは、その部長はマネージャー兼エースプレイヤーとして、部署の成果の半分以上を担っているという環境でした。加えて小さな子供もいるママさんです。

そのため、子供の世話が片付いた深夜や、土日にクライアントの対応を自ら処理し、新たな指示や情報共有を、部下にメールで伝えていました。

部長は常に忙しくしており、部員は、部長に共感してバリバリ働く中堅メンバーと、振り回されて疲弊した(と感じる)若手メンバーに分断されていました。

 

ケースAは、その部長に

「気持ちはわかりますが、部下にもプライベートの時間がありますから、緊急でなければ自分自身に備忘メールを送るなどして、翌朝か週明けにあらためて部下に指示してください」

と伝え、ひとまず対応できました。

 

難しいのがBパターンです。

部長も限られた時間の中で仕事しています。

とはいえ、部下にも部下の世界がありますし、どちらの主張ももっともです。

ただ、この対立の根底には、部長や中堅エースたちの本心に

「自分はこんなに仕事しているのに、成果も小さく仕事量も少ない若手が不満を言える立場なの?」

といった気持ちがあり、若手側には言葉にしなくても十分伝わります。

若手側は、

「上の人たちの苦労自慢をされても困る。部下に同じことを要求しないでほしい」

と、反発心を抱いてしまいます。

 

このような拗れた状態の時に、人事部ができることは、感情の通訳をして

「異動させてやる」「評価を下げる」

「会社辞めてやる」「どこかに訴える!」

と言い出すことを抑えます(応急処置)。

その後、お互いが絶対に譲れないラインを双方から聞いて(診察)、

落とし所を見つけていきます。

ここで気をつけるのが、会社(人事部)が介入して変えたという体裁でなく、部長の指揮のもと、自然に修正されたように心がけます。

例えば、

「部下の不満を認めて、会社が部長に改善させた」

としてしまうと、部長は面子を潰されたと感じて、問題を訴えた部下に恨みを持つかもしれません。

逆に部下からすれば、もう部長への信頼は戻らなくなります。

 

今回のBパターンでは、

部長に対して日々の努力と苦労を労いながら、「我々とは時代が違うと思って、若手達が自ら仕事をやりたくなるような声かけや仕掛けを、別途考えましょう」

「部長から若手に、『土日や深夜のメールは気が回らず申し訳なかった。極力送らないようにするが、どうしても必要な時は理解してほしい。すぐにメール確認できなかったり、返信できないことがあっても責めるつもりはない』という言葉を伝えてほしい」

「若手向けの人事研修では、『部長クラスのマネジメントは、こんな苦労や努力が陰であり、一方でダイナミズムもあるんだよ』といったことも教えていく」

という話をしました。

正直言って、これで万事解決とはならないでしょうが、社員の心のメンテナンスを継続するつもりです。

 

10月1日は内定式

私の会社は、10月1日に社内で内定式をおこなう予定です。

リモートの可能性も想定していますが、感染者が減ってきていることと、内定者(この日まではまだ内々定者)が全員、ワクチン接種を終えていることもあり、おそらく集まれそうかなと思います。

人数によりますが、同業他社の内定式事情を聞くと、集まるケースからリモート、中止とさまざまです。

 

とはいえ、内定者ケアとして、何かしら交流の機会は作っているようです。

臨時アルバイトとしてリモートインターンの手伝いをしてもらったり、zoom飲み会を開いたり……。

ある会社では、zoom飲み会にあわせて内定者の自宅にオードブルの出前を送って、一緒のものを食べながら話すそうな。

集まることが難しい中で、少しでも一体感を出すべく、人事部はあれこれ思案しています。