会議で入社1年目が発言する意味
自己啓発書では、
「新人でも発言しなければ存在価値なし!」
といった考え方が主流です。
私も基本的には賛成です。
でも……
自分がまともに会議で発言できたのなんて、3年目の途中でした。
その後、他部署に異動してからはまた1年間、まったくついていけずに置き物でした。
自分がダメ社員だったから説得力ないですが、社会人になってまもない若手に期待しすぎではない?
もちろん、意識して発言するように努力を続ける人は、それを怠っている人よりも成長が早いでしょう。
でも、発言できない新人でも、先輩たちの発言を浴びている中で静かに成長するタイプもいると思います。
ちょっと話が逸れますが、うちの3歳の子供は、言葉を話し出すのが同年代の子に比べて半年くらい遅かったのです。それが、話し出した途端、ものすごい語彙力で、アニメ映画のセリフをほとんど暗記して、親の口癖からCMのセリフまで、一日中喋っています。
言葉を発しない時に医師に相談すると、
「話をしない今も、人の会話はきちんと聞いて学んでいますから大丈夫ですよ」
と言われましたが、本当にそうでした。
若手社員にも、いずれは会議でも臆せず意見を言えて、自分の考えを持った仕事をしてもらいたいですが、それぞれのキャラクターに合った育て方をしたいと思っています。
それには、上司の育成方法が重要です。
私が若い頃の部長は怖い人で、
「会議中に1回も発言しなかった人は、1カ月間経費を1円も使っちゃダメ」
というルールを作って、無理矢理にでも発言させるようにしていました。
一方で、見当外れな発言でも、それを指摘するようなことは一切しません。大人数の前で意見を言うトレーニングをさせていたのだと思います。
反対に、とても優秀な部長がいるのですが、その部長は会議中、一切部員に意見させる雰囲気を作らせず、自分の意見を言うのみ。会議とは部長からの報告会という考えです。
ただし、1対1で部員と企画の打ち合わせはおこない、企画の意図はじっくりと聞きます。
これはこれで、部下に自分の意見を話させる指導はできています。
部下の指導方法は難しい。
全社で基準を作るのは、上記のような個々の考え方を潰すことになりますし、現場に任せ過ぎると部署によって落差が大きくなる恐れもあります。
人事は、手を抜かずに現場を見続けるしかありません。