現役人事部長の「採用研究室」

人事部長の「採用研究室」

採用面接に社員研修、査定評価まで…人事部という職場で日々思うことを書きます。企業の人事担当者、学校の就職支援課、就活する学生さんの参考になれば幸いです

「筆記試験が優秀すぎて不合格」伝説

「筆記試験がトップの人は(採用選考を)落とす」

という話は聞いたことはありませんか?

 

私が就活をしていた20年前からそういった伝説はあり、ずっと気になっていたので、人事部に異動すると早速調査を始めました。

 

まずは自社から。

上司にあたる当時の人事部長にこの質問をぶつけると、

「わざわざ落とさないけど、筆記トップは入社しないよ」

他社の人事担当者も、

「よく聞くけど、うちは落としてないと思う」

 

どうやら噂は事実でないようですが、元上司の言葉が引っかかる……。

その時はあえて、筆記トップが入社しない理由を聞かなかったのですが、その後4年間採用を担当して、すべてわかりました。

 

私の会社では、書類選考後に筆記試験を実施し、それから面接試験に移ります。

簡単にいえば、エントリー書類や筆記試験で人数を絞った上で、面接で人柄や能力、適性をじっくり見ようという狙いなのですが、

筆記トップは毎年「ほぼ例外なく」面接で落ちます。

コミュ障が本当に多い。

これ、筆記試験の成績上位者が皆んなコミュ障、というわけではなくて、ぶっちぎり満点に近い人がその傾向にあります。

 

この現象は昔から変わらないようで、わざわざ面接前に落とすことはしないものの、1回目の面接でほぼ姿を消すことから、この伝説が生まれたのでした。

 

よく学生から、筆記試験の出来が悪かったことが不合格の理由なのかと聞かれることがありますが、

「その後の面接に進んでいるなら、どこの会社も筆記の結果はチャラだと思いますよ」

と答えています。

国家公務員試験は、試験の順位がその後の出世にずっと影響しますが、民間企業は、筆記試験ができても儲けてくれなくては意味ないですから。