現役人事部長の「採用研究室」

人事部長の「採用研究室」

採用面接に社員研修、査定評価まで…人事部という職場で日々思うことを書きます。企業の人事担当者、学校の就職支援課、就活する学生さんの参考になれば幸いです

入社後に素を出す新入社員

新型コロナの影響で、最近までほとんど出社しなかった新入社員の研修は、今年はすべて自宅でWeb講義となりました。

 

私としては、新入社員の研修はいつも対面だったので、1日も出社させずに大丈夫か? と不安だらけだったのですが……

業者が作成したマナーやホウレンソウなどのWeb講義の内容を見ると、30分毎におさらいクイズがあったり、想像以上に論理的にできていて、過不足なくていいじゃない! という感想でした。

 

《Webでは指導できないこと》

とはいえ、細かなマナーや社会人の常識を教えるのは、Webを介しては本当に難しい。

例えば、内定者や新入社員が研修で出社すると、2、3分遅れる人がいます。

さすがに謝りもしない人はいませんが、本来であれば事前に遅れるかもしれないと連絡するのが常識です。

メールで連絡事項を送った際も、

「了解です」

(正しくは、承知しました)

といった返信はましなほうで、返信すらない人が少なくなりません。

こういった指導は、Webを介しておこなうにはニュアンスが難しく、対面でその人の性格に合わせた対応が必要だと感じています。

 

《朝が苦手なんで…》

採用面接中や、内定者研修中はとても明るく真面目な新入社員がいるのですが、ある日の研修で数分の遅刻をしました。

研修終了後に別室で一人呼んで、

「体調は大丈夫か? 気になることがあれば言って」

と遅刻の原因について聞いたところ、

「じつは僕、朝が昔から苦手でして。気をつけているのですが、まだ学生気分が抜けていないようです。すみません」

どんだけ正直かっ!

と突っ込みたいところでしたが、ぐっと堪えて

「学生気分が抜けていないとわかっているなら、今後どうしたらいいか自分で考えられるね。もし同じ失敗をしたら、すぐに連絡するなり対処できるのが社会人だよ」

と伝えました。

入社さえしてしまえばここまで素を出すのかと、最初に人事部に異動してきたときは驚きましたが、

「仕事をしていく中で学んでいけば、まあいいか」

と、ようやくポジティブに思えるようになりました。