現役人事部長の「採用研究室」

人事部長の「採用研究室」

採用面接に社員研修、査定評価まで…人事部という職場で日々思うことを書きます。企業の人事担当者、学校の就職支援課、就活する学生さんの参考になれば幸いです

面接でアピールしたい経験は今のうちに

エントリーシートや面接で、他の人と違いをアピールできるような経験がなくて…」

と、1〜3月になると嘆く大学3年生がとても多いです。

そのときになって、あわてて居酒屋のバイトをしたり、旅行に行ったりして話しても、人事担当者や面接官は聞き飽きています。

 

アルバイトや部活動、ゼミの活動が自己PRのTOP3です。

ただし、同時通訳をしていたり、箱根駅伝で走ったような特別な人でない限り、結果そのものには人事としては興味ありません。

そのアルバイトや部活動で、挫折から這い上がったり、面白い視点や工夫で周りを変化させたような経験を聞きたいのです。

そういう人なら、会社や部署を発展させてくれるのではないか、と期待させてくれる新入社員が欲しいからです。

 

となると、逆算して最低でも11月くらいから、新しいことに取り組んでおいてほしい。

例えば、(平凡、と言っては失礼ですが)飲食店のバイトをするとして、3カ月くらいあれば、店長と一悶着起こせますし、前向きに行動していれば一度くらいは「君の○○なところが頼りになるよ」と言ってもらえるでしょう。

欲を言えば、ファストフードよりは居酒屋のようなお酒の入る店の方が、面接のネタになる「事件」が起きそうですし、優しい店長の店よりは、頑固オヤジが大将の店の方が、「葛藤」や「逆転」が生まれそうです。

 

もし、自分をアピールするエピソードがないのなら、早速11月からアルバイトでもしてみませんか?

新型コロナで働き口も少ないかもしれませんが、逆に言えば、他人と違った物語を作る絶好のチャンスです。

「コロナの影響でバイトをリストラされました」

「お客さんが少なくてヒマでした」

なんて返しをしてしまう学生が、来年の面接では激増するでしょう。

そんなときに、

「コロナでいちばん苦しい海鮮居酒屋で、自分がどこまでできるかチャレンジしたくてバイトしました。最初は1日3組しか来なかった客を、こんな工夫を考えて、ここまで増やせました」

「バイト代をあえて半額にしてもらって、その代わり店の存続のために、こんなチャレンジ企画を実現させてもらいました」

というように、ガッツを見せながらもアイデアを考えることが好きな自分をアピールすることもできるでしょう。

 

私が毎年読むエントリーシートのうち、約半分が、アルバイトにしても部活動やゼミにしても、「忙しい中でやり続けた」「試合に勝った」「猛勉強して討論会で入賞できた」といったアピールで終わります。

 

たった3カ月でいいので、最低限の行動と、ちょっと工夫した書き方を心がける。それだけで上位半分になりますから。